(以前の文章とだぶる文章もありますが、載せますね)
本日は、「きりんのゆめ」はどういった存在なのかを皆様に
お伝えします。
きりんの家は、人が亡くなる場所でも看取りの家でもない。
ここは、「生きる場所」です。
人は皆、生きようとしていて、生きているその先に「死」が
あるだけ。
そこまでをどのように生きるかです。
そのためには(家族も含め)他人の力が必要。
人は人の中でしか生きられない。
そして、そのお手伝いをするのがここ、「きりんの家」なの
です。
そのことを伝えるために作った、ひとつの物語があります。
きりんのゆめの想いが詰まったメッセージです。
ご一読いただけると幸いです。
【ひとつの物語】
静かな森の中。奥の方に、何やら明かりが見えます。
いったい何の明かり?
わからないけど、とても気になります。あまりに優しい
明かりだから。少しずつ近づいていくと、それは家の明か
りでした。
まるで、呼び寄せられるように足が家に向かって進んでい
きます。何やら、人の声や動物の声、そし温かいスープの
香りが漂ってきます。
人が住んでいるの?こんな所に?いったいどんな人が?
それは、丸太で作った小さな家でした。
時間をかけ、一つ一つ手作業でやったんだろうな、と思う
ような家です。
知らないはずなのに、何だか懐かしいような・・・。
大きな窓から明かりが漏れています。
あ、この明かりだったんだ。
ドアには、「よかったら、お茶でもどうぞ」という看板が
掛かっています。
思わずドアを開けてしまいました。
中には、大きな薪ストーブが置いてあります。
そして、隣には大きなおじいさんが椅子に腰かけ、
「ようこそ、いらっしゃいました。疲れたでしょう、お茶
でも飲んで温まって下さい。」と優しく声をかけ、お茶の
準備をしてくれます。
思ったより家の中は広く、何人かの人が住んでいるように
思えます。
奥からは、人の声が聞こえてきます。食事の準備中なのか、
スープのいい香りがしてきます。そして、よ~く見ると、
おじいさんの足元には猫が丸く寝ています。どうも、この
おじいさんは、ここの主(ぬし)のようです。
そして、長い長い話が始まりました。
何人かの人が一緒に暮らせる「家」が欲しくて、森の中で
木を1本1本切り、家を作り始めたようです。
それはそれは気が遠くなるような話です。周りの友達が見
かねて、一人また一人と手伝ってくれ、なんとかできあが
りました。
おじいさんは、何の仕事をしていたかは詳しく話してくれ
ません。
ただ、人が元気に暮らせるようなお手伝いをしてきたよう
です。病気になるのは仕方がないけど、最期をこんなふう
に終えるのはつらいな・・・という経験を何回か繰り返し、「
家」を作りたいと思い、今に至ったようです。
「ここは、人が亡くなる場所なの? 看取りの家なの?」
ううん、そうじゃない。ここは、「生きる場所」。
人は(人の細胞も含め)皆、生きようとしている。
生きている、その先に「死」があるだけ。
そこまでをどのように生きるか。
残念だけど、そのためには(家族も含め)家族の力が必要。
人は人の中でしか生きられないから。
そして、そのお手伝いをするのが「ここ」。
ここにあるのは、普通の暮らし。
朝、気持ちよく目覚め、身体と心が喜ぶご飯を少し食べ、
お茶をし、お風呂に入って、森の中を散歩し、人と話を
し、そして眠りに就く。
実は、その「普通の生活」がとても大事。
おじいさんの話・・・わかるようでよくわからない。
自分には遠い話だから・・
でも、本当に遠い話なのかな?
人は必ず死ぬ。
生まれてくる時は、あんなにみんなに囲まれて祝福される。
最期も、出来ることなら人に囲まれて、笑いながらみんな
に挨拶したいな・・・。
「みんな、今までありがとう」って。
それが、家族であっても、そうでなくても。
人が死ぬ、という話なのに、なぜかおじいさんの話を聞い
ていると元気になっている自分を感じる。
どうしてかな? 初めて会った人なのに・・・。
こんなおじいさんや、こんな家が、たくさんあればいいな
・・・。そんな気がする。
そして、僕に何ができるのかな?
あ、陽の光・・・。あれは何? 夢だったの?
スープの香りは、しっかり残っているのに・・・。
おじいさんの声も・・・。
今日も一日が始まる。
昨日と何も変わらない一日が。
でも、自分の中の何かが変わった気がする。
さあ、頑張ろう!